Ayers Rock & Mount Olga

Australia
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エアーズロック

これまで豪州(特にクイーンズランド州)は、コロナ封じ込めに成功し、私達は幸運にも外出時にマスクを着ける必要もなく、ほぼ通常と変わらぬ生活を送らせて頂きました。勿論、海外旅行には行けませんが、この広大な大陸には、秘境や絶景があちこちに存在します。この機会に、国内の観光地に改めて目を向けるオージーが増え、豪州国内旅行の人気が高まりました。

ところが2-3日前から、シドニーをはじめあちこちでコロナ感染者が蔓延し、ロックダウンに入る自治体が相次いでいます。これからスクールホリデーが始まるというのに、何とタイミングが悪いんでしょう!

このコロナ蔓延の直前、私はエアーズロック行きのチャーター便を担当し、昨夜ブリスベンの自宅に戻ってきたところです。エアーズロック(ウルル)は、オーストラリア大陸のほぼ中央に位置する巨大な一枚岩で、1987年、ユネスコ世界遺産にも登録されています。エアーズロックを訪れるなら冬。今こそ観光に最も適したシーズンです。夏は耐え難い暑さとハエの大群で、とても観光を楽しめる環境ではありませんが、この時期のエアーズロックは、朝晩冷え込むものの、日中の日差しは清々しく、ハイキングには最適です。

今回は、富裕層をターゲットにした旅行代理店のチャーター便で、お客様の平均年齢は80歳くらい。オージーの年配の御夫婦が大半でした。日本でいう添乗員・ツアーリーダーの方も二人同行していました。御年配のお客様がほとんどゆえ、車椅子をお使いの方や、階段の昇り降りが困難な方、杖を使う方もいらっしゃったので、搭乗の際にも充分注意しなければいけません。又、セリアック “Coeliac” という白人に多い症状で、小麦などに含まれるグルテンを摂取すると、腸の粘膜に炎症を起こす方も何人かいらして、機内食をサービスする際にも注意しなければいけませんでした。フライト中、細心の注意は必要ですが、私はこうした人生の大先輩と接する機会をいつも大変楽しみにしています。特に、ブリスベンからエアーズロックまで、冬は強い向かい風の影響で、飛行時間は4時間を要します。一人一人のお客様に時間をかけて(次のお客様をあまりお待たせしない様に)色々なお話をしたり、旅のプランを見せて頂いたりしながら、ゆったりとサービスを行いました。お互い徐々に打ち解けて、楽しいフライトで皆さんをエアーズロックまでお連れする事が出来ました。帰りのフライトでは、旅の話を聞いたり、写真を見せて頂いたりして、フライトが終わりに差し掛かる頃には、皆さんの家族構成やら趣味、人生物語なども知ることとなり、すっかりお友達になって、お別れするのが名残惜しいほどでした。

エアーズロックに到着した日は、疲れ果てていましたが、せっかくの機会です。同僚と一緒に滞在先のホテルから歩いて近くの丘を登り、日没のエアーズロックを見に行くことにしました。

日没とともに色を変えるオレンジの岩。ここに来るといつもピュアで神聖な気持ちになります。かつてはエアーズロックに登ることも出来た様ですが、私個人的には、こうしてエアーズロックを遠くから眺めているだけで充分です。太古の昔から、先住民族の人々によって聖地として崇められてきた神聖な場所であり、先住民は観光客による登山を快く思っていなかった様です。日本にも、沖ノ島など、「神宿る島」と呼ばれ、現在でも女人禁制となっている場所があります。相撲の土俵もそうですね。これまで何百年もの間、その土地の人々が神聖な場所として崇めてきた場所、守ってきた伝統に、無知な外部の観光客が土足で踏み込んでしまって、果たして良いものでしょうか。様々な意見があると思いますが、私個人的には、先住民族が長い間大切にしてきた聖地には、敬意を持って守っていくべきだと思っています。

マウントオルガ(カタ・ジュタ)

翌日は、クルー全員でレンタカーを借り、もう一つの世界遺産であるマウントオルガ(カタ・ジュタ)に行ってみました。岩山に挟まれた渓谷がウォーキングトラックになっています。急な斜面の登りや降り、足場の悪い所もありましたが、3ー4時間かけて歩きました。私達の靴は、すっかり赤い土で覆われてしまいました。鳥の声、風の音、自然の音以外は何も聴こえません。紺碧の空と、オレンジの岩々は、まるで絵の具で塗ったような鮮やかさです。時々現われる絶景は、息をのむような美しさです。エアーズロックにいらっしゃる機会があれば、是非このマウントオルガにも足を延ばしてみて下さい。エアーズロック同様、大自然の荘厳さを間近に感じることが出来るでしょう。

フィールド・オブ・ライト

夜は、ブルース・ムンロという芸術家がデザインした、フィールド・オブ・ライトというイルミネーションのディスプレイを見に行きました。5万個の電球が時折色を変えて、幻想的な空間を作り出しています。空を見上げれば、満天の星空は実に美しく、別世界にいるような気持ちにさせられます。

今回のチャーター便も、お陰様でお客様にも大変喜んで頂くことが出来ました。楽しい旅のお手伝いが出来、フライトアテンダントとしてこんなに嬉しいことはありません。エアーズロック滞在中も、こうして同僚達とあちこちを冒険し、大変貴重な体験をすることが出来ました。このご時世に、こうして自分の好きな仕事を思う存分させて頂ける幸運に、心から感謝しています。